学校怪談の真相02

事故死したOさんは、B建設の下請け、D土木の社員だった。働き盛りで明るく、みんなの人気者だった彼は、奥さんと子ども二人の四人家族で、幸せな生活を送っていたらしい。

しかし、A中学の新校舎の工事中、ユンボ(ブルドーザーの背が伸びたような工作機械)のそばでコンクリートのバリ取りをしているとき、誤ってユンボが掘った穴に落ちてしまったのだ。ユンボの操縦士は、慌てて機械のアームを持ち上げようとしたが、逆にコンクリートの大きな塊を彼の上に落下させてしまった。

落ちてくる塊に向かって、とっさに手を差し出したところ、そのまま両腕と右足を押し潰されてしまった!塊の端は鋭利な刃物のようになっており、両腕は服と皮膚を残してほとんどちぎれてしまった。

A氏はOさんの断末魔のような叫び声を聞きつけて、現場にかけつけ、すぐに救急車を手配した。病院に運ばれたOさんは、この事故で受けた側頭部の頭蓋骨骨折のために死亡し、両腕の縫合はなされなかった・・・・・・。

A氏から聞いたD土木のヘルメットの色は黄色。労務者の霊を目撃した女の子は、水色っぽいヘルメットだと言っていた。

もちろん彼女が二十年まえのことを知っているはずもない。学校では、生徒をはじめ誰ひとりとして知らなかった事故なのだから。

ということは、彼女が見た労務者は・・・・・・幽霊のかぶったヘルメットも、月日とともに色が落ちてゆくということなのだろうか。

学校の怪談話の中で、信憑性があると感じたものの一つに、十五年ほど前に、ある中学校で目撃された少女の霊の話があった。

彼女は、当時中学一年生のT子さん。性格は明るく、みんなの人気者だったが、突然失踪してしまった。しかしその後も、学校内でT子さんを目撃した人がいる。

この中学を卒業し、現在、都内の某専門学校で教師を勤めるDさん(二十八歳)は、在学中に彼女を見ている。

場所は、誰もいない放課後の教室。

失踪したはずのT子さんが、机に座って何かをしていた。隣のクラスのDさんは、『T子が戻ってきたんだわ』と思い駆け寄った。すると彼女は、髪をハサミで切りながら「洗いたい、洗いたい」とつぶやいたそうだ。

よく見ると、体が透けている。びっくりして思わず教室を飛び出し、その後、二度と彼女を見ることはなかった。

また、T子さんより一学年上の先輩も同じような体験をしている。

雨の日の放課後、一人で美術室にいると、いつのまにか入り口に女の子が立っていた。「どうしたの?」と声をかけると、その子は蚊の鳴くような声で「セッケン貸して・・・・・・」と言ったそうだ。

そのときはじめて、行方不明になったT子さんだと気づき、驚いて近寄ろうとした。すると彼女は、入り口をスッと抜けて逃げてしまった。

あとを追い、廊下に飛び出したが、すでに彼女の姿はどこにもなかった・・・・・・。

私はDさんに協力してもらって、当時の生徒たちから聞き込みをしてみたが、有力な情報は得られなかった。

しかし調査をしていくうち、私は、霊現象よりも重大な事実を知った。

T子さんは失踪してから五年後、近くの小学校のトイレの便そう(マンホール)から死体となって発見されていたのである。

この事件は、昭和五十五年、六月二十八日の読売新聞で確認済みだ。

小学校のトイレの便そうからは、T子さんともう一人の女の子の変死体が見つかったが、残念ながら犯人はつかまらず、事件は迷宮入りとなった。つまり、殺された二人の女の子の恨みは晴れなかったということになる。

学校にT子さんの霊が現れたのは、「学校に行きたい・・・・・・」という未練と、便そうの中に沈められ、糞尿にまみれた体をきれいにしたいという気持ちが、死んだ後も消えなかったからだろう。


全国には、謎の失踪をした女の子がまだたくさんいる。
物証(死体)が出てこなければ事件にならず、警察も大きく動けない。学校に霊現象が現れたとき、調査を開始していれば、もっと早くT子さんを発見できたかもしれない。そして、事件の解決につながったのではないだろうか。


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